[飲食チェーン] 2ヶ月で月商約200万円増へ
現場とデータから「来店理由」を見直した飲食店支援
Contents
背景と課題
複数店舗を展開する、牡蠣を主力商品とした居酒屋チェーン。支援のきっかけは、店舗売上の改善でした。飲食店の売上が落ちると、「広告を増やした方がいいのではないか」「SNSをもっと更新した方がいいのではないか」「キャンペーンを実施した方がいいのではないか」と、すぐに施策の話になりがちです。
しかし、売上が伸びない理由が分からないまま施策を増やしても、成果につながるとは限りません。そこで最初に確認したのは、「お客様は、なぜこの店を選ぶのか」そして、「売上を阻害している要因はどこにあるのか」という二つでした。
数字だけではなく、必ず店舗へ足を運ぶ
飲食店を支援するとき、私は広告管理画面や売上データだけで判断することはありません。支援する店舗には、実際に足を運びます。まず、駅から店舗まで歩きます。確認するのは、
- 商圏の人の流れや属性
- 時間帯ごとの駅へ向かう人と、駅から出てくる人の流れ
- 店舗がどの方向から見えるのか
- 店舗の外観や看板が、何の店なのかを伝えられているか
- 近隣店舗にはどの程度お客様が入っているか
といった、店舗周辺の状況です。同じ駅前でも、人がどちらへ流れるのかによって店舗の見え方は大きく変わります。道の反対側には人が多くても、店舗の前にはほとんど人が通らないこともあります。駅から店舗までのわずかな距離の中にも、売上に影響する要因があります。
店内では「お客様がどう体験しているか」を見る
見るのは商圏だけではありません。実際に店舗へ入り、
- 入店時の印象
- スタッフの接客
- 注文までの流れ
- 商品提供までの時間
- メニューの見え方
- 主力商品の訴求
- お客様の反応
- 店舗オペレーション
も確認します。なぜなら、広告でお客様を店舗まで連れてきても、店舗体験に問題があれば売上は伸びないからです。逆に、商品には魅力がある。店舗オペレーションにも大きな問題はない。しかし、店の存在や商品の魅力が十分に知られていない。という状態なら、広告が有効になります。広告を出すことから考えるのではなく、まず現場を見て、どこに阻害要因があるのかを探す。これを支援の出発点にしています。
「何を売る店なのか」を明確にする
現場の確認と並行して、売上データや商品構成も確認しました。そこであらためて見えてきたのが、お客様がこの店を選ぶ大きな理由は「牡蠣」にあるということでした。飲食店では、売上を伸ばそうとするとメニューやキャンペーンを増やしたくなります。しかし、商品を増やせば店の魅力が強くなるとは限りません。むしろ、「この店に行く理由は何か」が分からなくなることもあります。
そこで、牡蠣を主力商品として明確に位置づけ、情報発信や広告でも、その来店理由を強く伝える方向へ整理しました。重要だったのは、新しい商品を次々につくることではありません。すでに持っている強みを、顧客から見て分かりやすくすること。ここから施策を組み立てました。
ABC分析から「売るべき商品」を見る
店舗では商品ごとの売上構成も確認しました。すべての商品を同じように販売するのではなく、売上への貢献度が高い商品を把握し、重点的に売るべき商品を明確にします。特に重視したのは、Aランクに位置する主力商品の販売です。売上を伸ばすために必要なのは、必ずしも新商品ではありません。すでに売れている商品を、もっと注文してもらえる状態にする。もっと魅力的に見せる。スタッフがきちんとおすすめできる状態にする。こうした基本的な改善が、店舗売上には大きく影響します。そのため、店舗責任者には、A商品の販売強化とQSCの改善を重視してもらいました
Google広告も「広告の数字」だけでは判断しない
複数店舗では、私がGoogle広告の運用も担当しました。ただし、広告の目的はクリック数を増やすことではありません。飲食店の場合、最終的な目的は来店です。そのため、CTRが高いか。
CPCが安いか。だけではなく「その広告が、本当に店舗へ来る可能性のある人へ届いているか」を重視します。
店舗ごとに商圏も違えば、人の動きも違います。駅から近い店舗。少し離れた店舗。繁華街の店舗。オフィス街の店舗。同じブランドでも、立地条件によって広告の役割は変わります。だからこそ、実際に商圏を歩いた上で広告を設計します。
広告と店舗を分けない
Web広告では、広告管理画面の中だけで改善を考えてしまうことがあります。しかし飲食店の場合、広告の先には必ず店舗があります。広告を見た人が、店を知る。興味を持つ。場所を調べる。店舗の前まで来る。店構えを見る。入店する。メニューを見る。注文する。料理を食べる。また来たいと思う。ここまでが一つの顧客体験です。
広告は、その途中にある接点の一つにすぎません。そのため、広告だけを最適化するのではなく、広告から店舗体験までを一つの流れとして考える。これを重視しました。
売上改善は「集客」だけではつくれない
店舗責任者との打ち合わせでは、広告の反応だけではなく、店舗状況についても継続的に確認しました。たとえば広告で新しいお客様が増えても、料理提供が遅い。接客に問題がある。おすすめ商品が伝わっていない。店内の清潔感が不足している。こうした問題があれば、せっかく獲得した顧客を失ってしまいます。だからこそ、集客と店舗改善を別々の仕事として考えません。広告で入口をつくり、店舗で商品価値を伝え、満足して帰ってもらう。売上は、その一連の結果として生まれます。
1店舗では、翌月約100万円、その翌月には約200万円の売上増へ
こうした改善を進める中で、ある店舗では売上が大きく改善しました。施策開始後、翌月には前年同月比で約100万円増。さらにその翌月には、約200万円増に近い水準まで売上が伸びました。他の支援店舗でも、売上は回復傾向を見せています。
もちろん、この売上増加をGoogle広告だけの成果と考えることはできません。主力商品の整理。店舗責任者による販売強化。QSCの改善。商圏を踏まえた広告運用。季節要因や市場環境。複数の要素が関係しています。だからこそ重要なのは、「広告を出したら売上が増えた」ではなく、売上を阻害している要因を一つずつ取り除いていったことだと考えています。
飲食店のマーケティングは、管理画面の中にはない
この事例で重視したのは、広告のテクニックではありません。まず現場を見る。お客様の動きを見る。周辺店舗を見る。店の見え方を見る。店舗オペレーションを見る。商品別の売上を見る。そのうえで、「この店が選ばれる理由は何か」を考えます。
そして、その理由をより多くの人へ伝える必要があるなら、広告を使います。店舗に課題があるなら、先に店舗を改善します。商品の見せ方に課題があるなら、商品訴求を変えます。すべての店舗に、同じ処方箋が効くわけではありません。
だから私は、施策から考えるのではなく、現象から考えます。現場と数字の両方を見ながら、売上を阻害している要因を見つけ、その阻害要因に必要な手段を選ぶ。広告、商品、店舗、接客を分断せず、一つの顧客体験としてつなぐ。
それが、この飲食店支援で重視している考え方です。
